発達障害のある子の進学と就労

教育

特別支援学級の子どもたちはこれからどういった人生の選択肢があるのだろう。
どの学級を担任したとしても、これらを知っておく必要があると思い、本書を手に取りました。

違和感を感じたら、まずは相談

まず筆者は、小学校での生活の中ではもちろん、小学校に上がるまでにでも少しの違和感を感じたら、ほったらかしにせずに行政や専門機関に相談することを薦めています。
違和感は子どもによって違うでしょうが

・言葉がうまく話せない
・勉強についていけない
・衝動的だったり、落ち着きがなかったりする
・他人とうまく関われない

など、さまざまだと思います。
それらを相談し、高校進学までに、療育を受けることを薦めています。

療育とは、「障害のあるお子さまやその可能性のあるお子さまに対し、個々の発達の状態や障害特性に応じて、今の困りごとの解決と、将来の自立と社会参加を目指し支援をすること」です。いわゆる発達支援と同義と考えて良いそうです。

児童発達支援センターや児童発達支援事業所に相談することで、本人が感じている困難さを少しでも和らげ、持っている力を引き出せるように支援してもらえます。
発達障害は本人の努力不足や、親の教育不足が原因ではありません。
の発達に偏りがあるために起こるものであり、症状は本人の特性であって病気ではありません。
治療して治るものではありません。
そのため、その子に適切な支援は何なのか(視覚的?聴覚的?なにがあるとやりやすいのか)を早期に見つけることが、本人がのびのびと過ごせることにつながります。

その子にとってどの環境が良いのかを考える

発達障害ということがわかったら、選択肢は以下の通りになります。
・把握した上で、通常級で過ごす。
・特別支援学級に入級し、通常級と両方で過ごす。
・特別支援学校に入学する。

どれが本人にとって一番良いのか。
この点は、専門機関や学校の職員、ご両親がしっかり相談して決めることが大切でしょう。

一つの大きな節目は高校

就業という観点から行くと、高校が大きな転換期となります。
中学校までの状況を見て、普通科の高校に入試を受けてチャレンジする選択肢ももちろんあるでしょう。
(しかし、義務教育が終わり、入試によって選抜される高等学校では、学習や人付き合いなど、あくまで自己責任的に扱われやすくなる傾向もある。)

高校を卒業と同時に就職するということも見据える場合はどうでしょうか。
特別支援学校の中にも、職業学科があり、就職に強い学校もあるそうです。(しかし、他の特別支援学校と比べ、試験の倍率が高い)。
当然発達障害があっても、通常の学級で頑張っていくという選択肢もあります。
しかし、支援学校の職業学科には、しっかりと手に職をつけられるという安心感があるでしょう。

療育手帳取得していないと受験できないなどのルールもあるそうです。
中学校まで通常級で、療育手帳を取得していない場合は特に注意が必要です。

本書では、職業学科で取り組む職業訓練の一例として、

・ビルクリーニング
・ロジスティック(商品の入出荷及び在庫管理など)
・食品(厨房内の食器洗浄、調理、接客)
福祉 介護職員の仕事
事務情報処理 マナー データ入力や事務的な作業

などが挙げられていました。

障害者の雇用状況

平成25年の法改正により、公務員や民間企業の約2%の従業員に、障害者雇用を義務付けられているそうです。(曖昧ですみません、、、)

療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の所有者にはこのルールが適用されるため、仕事に就きやすくなるようです。

発達障害の方の働き方は

一般就労 就活や試験などを受けて通常通り就職する。
障害者就労 手帳を取得し、就職をする。

のどちらでも選ぶことができます。
就労の時期には、一度手帳を取得するかよく考えるのが良いでしょう。
ハローワークや大学、地域障害者職業センターなどで相談可能です。

発達障害の方の就職実例

①保育園の清掃員Aさん
それまで他人とはうまくコミュニケーションが取れても、学習でつまずくことが多かったAさん。
なんとか高校は卒業し、通信制大学で教職の学習に励むも、学習面でつまづき、一時期お休みを挟んだそうです。
成人になって、自閉症スペクトラムと診断されて、就労以降支援事業所に入所しました。
そこでは、どんな仕事が向いているのか親切に相談に乗ってもらえたそうです。
(休憩のある職場がいい?同年代の男性とはうまくやれる?人と接する仕事は得意?など)
そういった支えもあり、Aさんは無事、保育園の清掃の仕事に就きました。

②勉強は問題なかったが、対人関係で悩んだBさん
抜群に成績が良いが、空気の読めない発言や行動が目立ち、友達ができなかったというBさん。
発達障害の傾向があったけれども、「成績が問題ないから大丈夫」と両親は特に気にしなかったという。
理系の国立大学に進学するも、対人関係に悩み、就職活動では面接でことごとく失敗。
なんとか就職できた勤務先も2ヶ月で辞めてしまい、家に引きこもってしまっています。

③親から発達障害を隠すように言われ続けたCさん
小学生の頃に学習障害、高校生でアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)と診断されたCさん。
自閉症の特徴である、興味関心が極端に偏りやすいということも関係してか、英語では90点以上をいつも取れるのに、数学では、3点しか取れなかったこともあったそうです。
他にも
・相手の言葉を真に受けてトラブルになる。
・予定変更についていけない。
・一つのことにこだわると、他のことが手につかなくなる。
・花火やサイレンなどの大きな音には耳を塞いで座り込んでしまう。
などがあったそうです。

本人は高校卒業、また在学中から「発達障害をオープンにしたい」という望みがありましたが、両親には受け入れてもらえなかったそう。
大学には得意な英語を使って短期留学するなど、充実した日々を過ごした一方で、就職時には障害者としての相談・支援をしてもらえず、苦しんだと言います。
社会人になり、旅館のフロントとして働き始めましたが、周りの方は発達障害とは知らないため、Cさんが困ったり、テンパったりしている状況に共感してもらうことができません。
ついに親には相談せずに、障害者就業・生活支援センターに行き、手帳を取得しました。
その後、退職を伝えると、上司が「障害者としてうちで雇用したい」と理解を示してくださったそうです。
業務内容を変更、同僚の理解を得られながら、英語能力を生かして働き続けています。

まとめ

・本人のためにも、保護者・教員は子どもの様子をよく観察し、発達障害が疑われる場合は、速やかに専門機関に相談する必要がある。

・発達障害の診断が出た際には、選べる選択肢が増える。
・通常級
・特別支援学級
・特別支援学校
どれが本人にとってより良いか、相談しながら考える。

・就職という観点で言えば、大きな節目は高校進学。
特別支援学校に進めば、就職に向けて手厚く訓練・支援を受けられる。

・障害者雇用が広まってきており、障害者ということをオープンにすることで受けられる支援があるなど、メリットもある。

・発達障害の悩みは人それぞれである。
勉強ができないけど、コミュニケーション取れるタイプ
勉強はめちゃくちゃできるけれど、コミュニケーション取れないタイプ
一部の学習のみ極端にできないタイプ
目に見えるようなケガとは違うため、周りからの理解を得にくいこともある。
障害を隠すことで、さらに理解を得ずらく、成人になるまで苦しむパターンもある。

発達障害を受け入れること、オープンにすることは非常に覚悟のいることだと思います。
一方で、それをしないことによって子どもがより苦しむこともあるのだとわかりました。
本書の学びを生かして、保護者の方と一緒になって「本当にその子にとって良い道は何なのか」を真剣に向き合っていきます。
今日も少しでも参考になれば幸いです。
ありがとうございました。

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